相続手続きのよくある質問10選|期限や必要書類を行政書士が解説
ご家族が亡くなった後の相続手続きについて、
「何から始めればよいのか分からない」
「相続手続きには期限があるの?」
「借金があった場合はどうすればよい?」
といった不安をお持ちの方は少なくありません。
相続手続きには、戸籍の収集、相続人の確認、財産調査、遺産分割協議、預貯金の解約、不動産の名義変更など、多くの手続きがあります。
また、相続放棄は原則3か月以内、相続税の申告・納税は原則10か月以内など、期限が決められている手続きもあります。
今回は、相続についてよく寄せられる質問を分かりやすく解説します。
Q1.家族が亡くなったら、相続手続きは何から始めればよいですか?
最初に、次の3点を確認します。
1.遺言書があるか
2.相続人は誰か
3.どのような財産や借金があるか
まず、自宅や貸金庫などに遺言書が保管されていないかを確認します。
その後、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を集め、法定相続人を確定します。同時に、預貯金、不動産、株式、生命保険、借金などの調査を進めます。
借金の有無が分からないまま遺産を処分すると、相続放棄が認められなくなる可能性があります。財産の全体像が分かるまでは、慎重に対応することが大切です。
Q2.相続人はどのように決まりますか?
遺言書がない場合、民法で定められた法定相続人が相続します。
亡くなった方の配偶者は、常に相続人になります。配偶者以外の相続人には、次の順位があります。
第1順位:子(子が先に亡くなっている場合は孫など)
第2順位:父母や祖父母などの直系尊属
第3順位:兄弟姉妹(先に亡くなっている場合は甥・姪)
上位順位の相続人がいる場合、下位順位の人は相続人になりません。
例えば、亡くなった方に配偶者と子がいる場合、相続人は配偶者と子です。父母や兄弟姉妹は相続人にはなりません。
ただし、養子、前婚の子、認知した子、代襲相続などが関係すると、相続人の判断が複雑になることがあります。
Q3.相続人を調べるには、どの戸籍が必要ですか?
原則として、亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍が必要です。
具体的には、次のような戸籍を収集します。
・現在戸籍
・除籍謄本
・改製原戸籍
・転籍前の戸籍
戸籍は法改正、婚姻、離婚、転籍などによって作り替えられていることがあります。そのため、死亡時の戸籍だけでは相続人を確定できない場合があります。
兄弟姉妹や甥・姪が相続人になる場合は、亡くなった方だけでなく、その父母の出生から死亡までの戸籍なども必要となり、戸籍の数が多くなる傾向があります。
当事務所では、相続手続きに必要な戸籍収集のみのご依頼にも対応しています。
Q4.遺言書が見つかった場合は、すぐに開封してもよいですか?
封印された遺言書を、家庭裁判所以外で勝手に開封してはいけません。
自宅などで見つかった自筆証書遺言は、原則として、家庭裁判所で「検認」の手続きを受ける必要があります。
ただし、次の遺言書については検認が不要です。
・公正証書遺言
・法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用した遺言書
検認は、遺言書が有効か無効かを判断する手続きではありません。遺言書の状態や内容を確認し、その後の偽造や変造を防ぐための手続きです。
遺言書が見つかった場合は、開封や処分をせず、まず専門家へご相談ください。
Q5.相続放棄はいつまでに行う必要がありますか?
相続放棄は原則として、自分のために相続が始まったことを知った時から3か月以内に行う必要があります。
相続放棄の申述先は、亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。申述人1人につき800円分の収入印紙と、裁判所が指定する郵便切手などが必要です。
相続財産に借金がある場合、相続放棄をすると、預貯金や不動産などのプラスの財産も含めて相続できなくなります。
財産や借金の調査が3か月以内に終わらず、相続するか判断できない場合は、家庭裁判所へ熟慮期間の伸長を申し立てられることがあります。
期限が迫っている場合は、早めの対応が必要です。
Q6.借金も相続しなければなりませんか?
相続では、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金や未払金などのマイナスの財産も原則として引き継ぎます。
借金を引き継ぎたくない場合は、家庭裁判所で相続放棄を検討します。
また、財産と借金のどちらが多いか分からない場合には、相続した財産の範囲内で借金を負担する「限定承認」という方法もあります。ただし、限定承認は相続人全員が共同して行う必要があり、手続きも複雑です。
亡くなった方の借金が疑われる場合は、預貯金、不動産だけでなく、次の資料も確認しましょう。
・通帳の引き落とし履歴
・クレジットカードの利用明細
・消費者金融や金融機関からの郵便物
・住宅ローンや自動車ローンの契約書
・税金、医療費、施設利用料などの未払金
・個人事業に関する債務
・他人の借金に対する保証債務
Q7.遺産分割協議書は必ず作らなければなりませんか?
遺産分割協議書の作成が法律上必須とは限りませんが、相続人が複数いる場合は作成することをおすすめします。
遺産分割協議書は、相続人全員で決めた遺産の分け方を証明する書類です。主に次の手続きで必要になります。
・預貯金の解約、払戻し
・不動産の相続登記
・株式や証券口座の名義変更
・自動車の名義変更
・相続税の申告
遺産分割協議は、相続人全員の合意が必要です。1人でも参加していない人がいる場合、その協議は原則として有効に成立しません。
後日のトラブルを防ぐためにも、「誰が、どの財産を、どのように取得するのか」を明確に記載することが重要です。
Q8.相続税は、いくらからかかりますか?
相続税は、正味の遺産額が次の基礎控除額を超える場合にかかります。
「3,000万円+600万円×法定相続人の数」
例えば、法定相続人が3人の場合は、次の計算になります。
3,000万円+600万円×3人=4,800万円
正味の遺産額が4,800万円以下であれば、原則として相続税はかかりません。
ただし、正味の遺産額には預貯金や不動産だけでなく、株式、生命保険金、死亡退職金、一定期間内の生前贈与財産などが含まれる場合があります。
また、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を使って納税額が0円になる場合でも、特例の適用を受けるために相続税申告が必要となることがあります。
相続税の申告・納税期限は、通常、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。相続税の判断や申告は、税理士へ相談することをおすすめします。
Q9.不動産の名義変更に期限はありますか?
2024年4月1日から、相続登記が義務化されています。
相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を申請しなければなりません。
正当な理由なく申請を怠った場合は、10万円以下の過料が科される可能性があります。
2024年4月1日より前に発生した相続で、現在も相続登記をしていない不動産も義務化の対象です。この場合、原則として2027年3月31日までに相続登記を行う必要があります。
遺産分割協議がまとまらず、期限内に通常の相続登記ができない場合は、「相続人申告登記」という制度を利用できることがあります。
相続登記の申請は司法書士の業務となるため、必要に応じて司法書士と連携して進めます。
Q10.遠方に住む相続人がいても手続きできますか?
相続人が遠方に住んでいても、相続手続きは可能です。
戸籍や住民票などは郵送で取得できる場合があります。また、遺産分割協議書も、それぞれの相続人へ郵送し、署名や実印の押印を受ける方法があります。
ただし、相続人同士で連絡が取れない場合、海外に住んでいる相続人がいる場合、認知症などにより意思表示が難しい相続人がいる場合は、通常とは異なる手続きが必要になることがあります。
当事務所では、遠方の相続人がいる場合も、郵送や電話などを利用して対応いたします。
相続手続きには期限があります
相続手続きでは、特に次の期限に注意が必要です。
・相続放棄:相続の開始を知った時から原則3か月以内
・準確定申告:亡くなったことを知った日の翌日から原則4か月以内
・相続税の申告・納税:亡くなったことを知った日の翌日から原則10か月以内
・相続登記:不動産を相続したことを知った日から原則3年以内
相続人や財産の調査には、想像以上に時間がかかることがあります。期限直前になって慌てないためにも、できるだけ早く準備を始めましょう。
相続手続きでお困りの方はご相談ください
相続手続きは、ご家族の状況や財産の内容によって必要な手続きが異なります。
おぐり行政書士事務所では、岐阜県中津川市を中心に、相続・遺言に関する次のご相談を承っています。
・相続人調査
・戸籍の収集
・相続関係説明図の作成
・相続財産の調査、財産目録の作成
・遺産分割協議書の作成
・預貯金の解約、名義変更
・証券口座の相続手続き
・自動車の名義変更
・遺言書作成のご相談
初回相談は無料です。相続手続きについて分からないことがございましたら、お気軽にお問い合わせください。
おぐり行政書士事務所
行政書士 小栗輝之
電話:0573-66-6313
営業時間:9:00~18:00
対応地域:中津川市、恵那市を中心に岐阜県、愛知県、長野県の一部地域
※相続登記は司法書士、相続税の申告は税理士、相続人間に争いがある場合の法律相談は弁護士の業務となります。必要に応じて各専門家へご相談ください。
※本記事は2026年7月29日時点の法令・公的情報を基にした一般的な説明です。個別の事情によって対応が異なる場合があります。
参考資料
・法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00565.html
・国税庁「No.4102 相続税がかかる場合」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4102.htm
・裁判所「相続の放棄の申述」
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.html
